鮮烈なデビューを飾ったのが3年前の22年。51勝を重ね、加賀武見、武豊、福永、三浦に続く史上5人目の新人年間50勝を達成した。藤田菜七子元騎手の43勝を更新した「女性騎手の年間最多勝」は、まだ破られていない。
今村は当時を「たくさん勝てる馬を用意していただきながら、目の前のことだけで精いっぱいになってしまっていた。先のことを考える余裕がなかったですね」。落馬負傷での離脱もあったが、その後は23年25勝、昨年6勝と成績が落ちた。思うような上昇カーブを描けなかった。
その間に台頭したのが美浦所属で同期の佐々木だ。23年68勝、昨年77勝とブレーク。「私が1年目に勝てている時に(同期のみんなは)反骨心を持って頑張っていたんだと思う。当時の私にそういう反骨心みたいな気持ちはなかったかもしれない」と今村。
追われる立場が追う立場に変わり、口調からは悔しさがにじむ。「自分が悪いんですけど、もどかしい。今は何か新しいことにチャレンジしたいなと思って」。かつての“弱さ”を隠すことなく、先に進もうとする覚悟を口にした。
滞在後は2週連続で勝っている。中山の1週目に美浦所属ソーニャシュニク(武井厩舎)で勝つあたりはさすがだ。「初日からアピールができたのは良かった。栗東に帰っても“関東で頑張っていたから頼みたい”と言ってもらえるのが理想です。絶対に何かをつかんで帰りたい」。
調教の合間、今村は最も関係者の往来が激しいベンチの真ん中に座る。最初はポツンと1人でいることもあったが、日を追うごとに周りに人が増えているのは彼女の魅力か。実り多き美浦での日々が、再ブレークのきっかけとなることを祈っている。
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Source: 競馬総合まとめ速報